刀　白鞘入り
Katana, Shirasaya

【銘文】表 : 豊前住河野貞光彫同作　裏 : 丁卯年三月吉日

【寸法】刃長 74.4cm(2尺4寸5分5厘)、反り1.9cm(6分2厘）、元幅 3.46cm、元重ね 0.74cm、先幅 2.53cm、先重ね 0.56cm、目釘孔 1個、刀身重量 942.5g 、白鞘全長 104cm

【時代】昭和62年(1987)

【国】豊前(福岡県)

【特徴】鎬造、庵棟、身幅広く、重ねやや厚く、反り頃合いにつき、中切先延びる姿。

生茎、鑢目大筋違に化粧鑢、先栗尻、目釘孔一。

彫物は、表裏とも棒樋を上三分の二ほど掻き丸留とし、表は草の倶利伽羅を、裏は爪に護摩箸を彫る。

地鉄は、小板目肌よくつみ、地沸つき、地景入る。

刃文は、湾れに互の目を交え、小足・刃入り、沸よくつき、金筋・砂流しかかる。

帽子は、浅く乱れ込み、先小丸、やや長く返る。

【見どころ】河野貞光刀匠は、本名を河野博といい、昭和25年福岡県生まれ。はじめ父国光に作刀を学んだのち、人間国宝の月山貞一の門人となって技量を高め、「貞」の字を銘に受け継ぎました。「今虎徹」と称される凄まじい切れ味で、武道家にも高く評価されています。本作は、身幅広く重ねやや厚く二尺四寸半強の刃長となり、切先が延びて豪壮な体配ながら反り頃合いにつき、体配の良い一振りです。鑑賞刀としても出来が優れた作品で、刃文と呼応するように冴えざえとした彫口の彫物も、月山門下ならではの大きな魅力となっており、見どころ多く楽しめるお品です。

【状態】小錆がところどころにあり、物打ちあたりに鞘擦れ跡が薄くあります。

【付属品】銀地金鍍金一重ハバキ、白鞘、白鞘袋、登録証(福岡県89602号 昭和六弍年参月拾九日交付)