【特徴】鎬造、庵棟、身幅広く、重ね尋常、鎬幅広く、反り浅く、中切先延びる姿。

生茎、鑢目勝手下がり、先浅い栗尻、目釘孔一。

地鉄は、小板目肌つみ、地沸つく。

刃文は、互の目乱れ、尖り刃交じり、足入り、沸よくつき、砂流しかかる。

帽子は、やや直ぐに小丸、先掃き掛ける。

【見どころ】本作は昭和十三年、石岡氏の需めに応じて、柴田果が笹掻という鍛法(刀断面があたかも笹葉を幾つも並べたような形状に硬軟鋼が交互に噛み合った鍛え方)で作った刀で、米沢藩士東善太郎家世襲刀・号「御殿守」と伝わった一振りです。柴田果は、柴田政太郎といい、明治十七年生まれ、秋田県西馬音内に住しました。当初、佐藤重則の協力を得、のち宮口一貫斎寿広に作刀指導を受け、昭和九年、帝展入選、昭和十年、新作日本刀大共進会で特別最優等賞を受賞しました。戦時中は東奔西走軍刀報国に任じ、篆刻、俳句その他多芸な刀匠であったと伝えられます。弟子に鈴木国慶がおり、子息の柴田昊も刀匠です。 昭和二十八年三月に没しました。本作は、柴田果が理論化した、実戦の場で研磨を重ねても鋼の硬軟の割合が一定に保たれるために折れず、曲がらず、斬れ味が良い、笹掻鍛法による現存する貴重な作です。

【状態】研磨済み、良好です。