【寸法】刃長 29.8cm(9寸8分3厘)、反り 0.2cm(6分6厘)、元幅 2.90cm、元重ね 0.77cm、目釘孔 2個、刀身重量 255g 、白鞘全長 46cm

【特徴】平造、庵棟、身幅尋常、重ね厚く、ごく浅くそりつき、ふくらつく姿。

　生茎、鑢目勝手下がり、先栗尻、目釘孔一。

　地鉄は、板目肌練れ、杢交じり、地沸付き、ところどころ肌たちごころとなる。

　刃文は、中直刃、小沸つき、刀身中ほどから上に向かって焼き幅を広げ、沸足入る。

　帽子は、直ぐに小丸に返り、先掃き掛ける。

【見どころ】江戸時代中期に製作された短刀は少なく、本作は貴重な作例です。短刀の需要が少なかったため他例が少ないものの、上野大掾祐定が依頼を受けてか時代にふさわしい姿を模索した造り込みとなっており、体配には長船派の系譜を辿れる特徴を有しつつ、庵棟を高くするなど細部の肉置きまで配慮したあとをうかがわせ、味わい深いものがあります。写真と比較して実物を手にしたときに、より長さを感じられます。横山上野大掾祐定は、七兵衛尉祐定の子で、寛文4年頃、上野大掾を受領したと考えられます。

【状態】良好です。

【付属品】素銅地金着二重ハバキ、白鞘、白鞘袋、登録証(香川県25249号 昭和60年2月21日交付)、保存刀剣鑑定書(日本美術刀剣保存協会R1.8.26発行) 、得能一男正真鑑定書(平成8年8月発行)