【特徴】鎬造、庵棟、身幅・重ね尋常、反り深くやや先反りこころ、元先幅差つき、小切先となる姿。

彫物は、表裏に二筋樋を掻いて丸留めとし、梵字を彫る。

茎は磨上、鑢目勝手下がり、先切り、目釘孔二。

地鉄は、板目肌つみ、杢目交じり、地沸つき、淡く棒映り立つ。

刃文は、直刃、浅く湾れごころを交え、匂勝ちに小沸つく。

帽子は、直ぐに大丸ごころに返る。

四君子図画讃彫紫檀合口拵　:雪後尋楳 霜前訪菊 雨際攫蘭 風外聴竹　固野客之閑情　実文人之深趣　明治己丑吉日　巨瀬凍人刀(刻印)

【見どころ】　長船盛光の小太刀で、磨上ながら体配よく、地鉄と刃文が整って格調高い作域を示す一振りです。盛光は、康光と並び応永備前の代表工として知られています。拵は、紫檀の色合いがよく、草木の中でも君子の如き高潔な趣が、文人墨客に讃えられてきた梅・菊・蘭・竹を題材とし、中国明代末期の陳継儒の『小窓幽記』の一節を画讃に添えています。

【状態】良好です。

【付属品】一重ハバキ、白鞘、白鞘袋、拵、拵袋、登録証(熊本県第52473号 平成拾八年壱月拾七日交付)、特別保存刀剣鑑定書(日本美術刀剣保存協会 令和元年五月二十三日発行)