【特徴】三面で構成され三角錐状となる、刃部が3辺の直槍(すやり)。よく練れた板目肌は地沸微塵に厚くつき、刃文は直調に浅く湾れて匂口冴え、沸厚くつき、砂流しかかり二重刃風あり、先掃き掛けとなる。三面ともに棒樋を掻き、朱塗りを施す。茎は先切り、鑢目筋違、目釘孔1。
初代河内守国助は、伊勢亀山生まれ。堀川国広の門、関一政の抱工。大坂住。正保四年五月三十日没。慶長元年頃から晩年までの年紀作がある。「勢州神戸住国助」、「河内守藤原国助」、「小林河内守国助」などと銘を切る。初代国助の息子たち(武蔵守国次、二代河内守国助"中河内"、肥後守国康、伊勢守国輝)も優れた刀工となり繁栄した一門・一類。
【見どころ】江戸時代初期の大坂武士の要望に応えて制作したものか、その姿は、実用面を十分に考慮して経験に基づき使用方法を想定したと考えられ、防御攻撃の意識の高さや緊張感を今に伝えており、冴え冴えとした地刃も見事です。『新刀鑑賞録』(天明3年 箕浦吉隆 著)には、初代河内守国助について、「この一類凡て、何れも鑓は名人なり。三角穂宝蔵院、千鳥十文字、笹葉形等、格好肉置、いふ所なき上手にて、度々堅物タメシに功あること人の知る所なり』との記述があり、槍の上手としても知られていたことがわかります。お手にとってじっくりと回しながら、ご鑑賞ください。
【状態】槍は刃中にわずかに小傷がありますが目立つほどではなく、研磨の状態は良好です。青貝と朱塗りを施した拵えは現代に製作された新作でたいへん綺麗な良い状態です。